【第5話】 相手を病みつきにさせる方法
〜 ネズミの習慣化(オペラント条件付け)とアメとムチ 〜


【前編】あなたならどうする?
【中編】オペラント条件付けとは?
【後編】正しい行動!
状況と質問
心理の原理
質問の正解


【前編】 あなたならどうする?

A君とB君は恋敵です。二人は大変魅力的な女性、S子さんに熱烈に恋をしていて、彼女を争っています。S子さんもそろそろ態度をはっきりとさせて、どちらかを選ばなくてはならないと感じています。しかし、どちらも同じ位に素敵な男性なので心を決めかねているのです。ちなみにS子さんはどちらの男性とも肉体関係はありません。電話で話す回数や、日常生活の中で会う機会もほぼ一緒です。S子さんは自分の態度を決めるために、二人ともう一回づつデートをする約束をしました。
A君もB君も彼女が喜びそうなプレゼントを用意し、入念にデートコースを練りました。さて以上の事をふまえ、彼女はどちらの男性を選ぶ可能性が高いかを考えてみましょう。
☆A君のデート
A君は家まで彼女を車で迎えに行きました。そしてイイ雰囲気でデートを始めるために、まず自分の心をこめたプレゼントを送りました。彼女はびっくりしたものの大いに喜んでくれて、とても嬉しそうです。それからA君は雰囲気が盛り下がらないうちにすぐさま車を走らせ、あらかじめ決めていたオシャレなレストランに入り、楽しいお喋りと伴に食事をとりました。その後、近くのアミューズメントテーマパークへと向かいました。夕方まで、心行くまで楽しく遊んだ後、車で移動して綺麗な夜景の見える公園へと行きました。そしてロマンチックな雰囲気の中、想いの限りを彼女に伝えました。しかし夜も遅くなってきたので彼女を家まで送り届けました。彼女は今日一日とても楽しく過ごす事ができた感謝の気持ちを述べて家に入りました。A君の誠実な気持ちは彼女に痛いほど伝わりました。
☆B君のデート
B君は彼女を少し離れた駅まで呼び出しました。彼女は電車に乗り約束の駅まで行きました。B君はその駅で彼女を車で拾ってから、まずドライブに出かけました。ちょっと遠くのテーマパークまで行ってみようという計画です。ところが車は渋滞に引っかかってしまいました。二人で楽しくお喋りをする時間はタップリできた半面、到着予定より大幅に時間がかかってしまいお腹はペコペコに空いてしまいました。その後、テーマパークで美味しく食事をとり、ひとしきり遊び、楽しい時間を過ごしました。夜も遅くなってしまうので早めに切り上げ帰路に着きました。しかし行きの渋滞が嘘のように、帰りはあっという間に家まで着いてしまいました。早く別れてしまうのは残念ですが、おかげで遅くなりすぎる前に彼女を家まで送り届ける事ができました
。彼女との別れ際にB君は彼女の為に用意したプレゼントを渡し、自分の想いを彼女に伝えました。彼女はびっくりしたものの大いに喜んでくれて、とても嬉しそうです。彼女は今日一日とても楽しく過ごす事ができた感謝の気持ちを述べて家に入りました。B君の誠実な気持ちは彼女に痛いほど伝わりました。


【中編】 オペラント条件付けとは?

「オペラント条件付け」とは習慣や行動の学習に関する法則です。ある行動を習慣付ける事、または学習させる事を「強化」と呼びます。またある習慣や行動を止めさせる事を「消去」といいます。難しく考える必要はありません。要するに「アメ」「ムチ」を正しく使い分けるだけの話です。行動を強化するためにはアメ(賞)を与え、行動を消去するためにはムチ(罰)与えるということです。
では有名なネズミの学習実験のお話をしましょう。ボタンを押すとネズミの大好きなエサが出てくる装置があります。次のネズミの内、「エサを手に入れる」という学習が一番早かったネズミは何番でしょう? また学習が遅かったネズミは? 学習できなかったネズミはどれでしょうか?
 
1. ボタンを押した直後にエサが出てきたネズミ。
2. ボタンを押してから3秒経ってからエサが出てきたネズミ。
3. ボタンを押してから10秒経ってからエサが出てきたネズミ。
4. ボタンを押してから1分経ってからエサが出てきたネズミ。
5. ボタンを押す前にエサが出てきたネズミ。

簡単ですね? 1番のネズミの学習が一番早く、2,3と遅くなり4番のネズミの学習が一番遅かったのです。また5番のネズミは学習する事ができませんでした。褒賞が速やかに与えられれば速やかであるほど学習は早く起こり強固です。考えてみれば当たり前の事なのですが、日常生活でこの法則を有効利用していない光景にはよく出くわします。そう、人間は意外と理性的なようで、実は理性ではあまり行動を決定していないものなのです。例えば、こんな…。
お母さんが子供を叱っています。
母: 「お部屋を散らかしてはいけないっていつも言ってるでしょ!?」
   
「早くお片付けしなさい!!」
   「お片付けが済んだら美味しいおやつをあげますからねぇ。」

子: 「いまいまぁ〜! 今おやつ欲しいよう。」
母: 「いけません! お片付けした後にあげますからねぇ。」
子:
 「やだやだぁ、今欲しいよう、おやつを食べたらお片付けするから、
   ねぇ、いいでしょう?」
母: 「もうしょうがないわねぇ…、おやつを食べたらお片付けするのよ?」
っと、おやつをあげてしまう。しかしおやつを食べた後も片づけをしない子供を見て母親はさらに叱ります。
母: 「おやつを食べたらお片づけをするって言ったでしょ!
   なんで約束を守れないの!! 今すぐに片付けなさい!!!」
子供は母に強く叱られ、怖がって部屋をすぐに片付け始める…。
どこにでもある光景のようですが、いかがでしょうか? ここではあまり賢明でない母親が先に「おやつ」というアメ(賞)を与えてしまっています。5番目のネズミと一緒で、これではいつまでたっても子供は部屋を片付けるという事を学習しません。「お片付け」を学習させたかったら決して「お片付け」の前に「おやつ(賞)」をあげてはいけないのです。
また逆の見方をすれば、母親は強く叱るという行動の直後に「子供が部屋を片付ける」というアメ(賞)を受け取っていますから、この母親は「強く叱る」という事をますます学習し、習慣化させてしまう事になるのです。叱りグセのある母親や教師には子供に「叱る」という事を学習させられている人が少なくない。


【後編】 正しい行動!

さて、ここまで話せばもう正解はお分かりですよね? S子さんはB君を彼氏として選ぶ可能性が高いのです。なぜならB君は、彼女に電車に乗ってもらい二人で会うための努力や行動をさせました。またドライブで二人きりで居るという状況を作りました。その後、食事やプレゼントといったアメ(賞)を与える事で「会うという事」や「二人で居る」という事を学習させたのです。一方、A君は、先にプレゼントをあげてしまいました。その後、A君は「S子さんと一緒に居る」というアメ(賞)を受け取っているので、逆に彼は「プレゼントをあげる」という事を学習してしまいました。A君はなぜ振られたのかが分からず、いわゆる「ミツグ君」になってしまいます。

【終わりに】

さて読者同輩諸君は彼女(彼氏)を飼っていますか? それとも飼われていますか(笑)? 彼女(彼)があなたにとって望ましい行動をとった時には、速やかに何らかのアメ(賞)を与えましょう。それは一つの「誉め言葉」「感謝の言葉」でもかまわないのです。デートの後に電話で「言い忘れてたけど今日の服、素敵だったよ。」とか「今日は楽しかったよ、ありがとう。」などで良いのです。自分は優しい人間だと分かっていても、それを表現しなければ意味がありません。
またよくあるアヤマチに、高飛車な態度や腹立たしい態度の相手に機嫌を直して貰おうと卑屈になり「ヨイショ」をしてしまうパターンです。相手はますます「高飛車な態度」や「腹立たしい態度」をとる事を学習してしまいます。心理学を知っていると少しだけ視野が広がるようです。そしてその分を差し引いた言動ができます。しかしその、ちょっとの差が結果に大きく影響してくる事も多々あるのです。私も皆さんと伴に勉強を続けていきたいと想います。
実はさらに、この学習(条件付け)を強固にする方法があります。ほとんど《中毒》と言っていいくらいに強固にできます。パチンコ店などは、この方法でお客さんをゲットしてます。彼(彼女)を繋ぎ止めておく、極めて強力な方法です。でもこの方法は皆さんへの宿題としておきましょうね。俺、イジワル?




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